浦和生まれと柏生まれの恋
第1章恋の始まり
ある春の日。

今日のチーム練習は午前中のみだった。

俺、中林竜介は柏ファイヤーズの午前中のチーム練習を終え、柏駅東口に来ていた。

もうすぐ12時。

どこかのレストランで昼食を食べようと思っていた。

俺はぐるっと周りを見渡す。

そごう、マルイ、高島屋が見える。

どこで食べようかな。

俺はさっきから駅のダブルデッキを行ったり来たりしている。

んー、迷うなあ。どうしようかなあ。

周りをキョロキョロ見ながら行ったり来たりしていると、俺は東口から出てくる人混みの中のある1人の少女に目が止まった。

その少女は、セミロングの黒髪、整った顔立ちをしていて、柏ファイヤーズのマフラータオルを首に巻いていた。

すごく美人で可愛い!


しかも、柏ファイヤーズのマフラータオルを巻いているなんて!

てか、どっかで見たことあるような…。

あ、そうだ!よく、練習場に来る子だ!

前にも会ったことがあったんだった!

俺は一瞬でその少女に魅了されてしまった。

わ、わ、わ、胸がすごくドキドキしている。それに、何だか体全体がとても熱い。熱すぎる。

ああ、もう、たくさん人がいるということがわからない。

俺の目線はあの女の子だけしか見えてないんだ。

というより、どうしたんだ、俺!

こんな感情になるなんて、人生で初めて。本当に俺はどうなっているんだろう。頭の中でプチパニックを起こしていると、少女がこっちに向かって歩いてくる。

そして、俺の隣に来て立ち止まった。

少女は自分のスマートフォンで柏駅周辺の街並みを撮影していた。
多分、少女にとって、柏の街は思い入れがあるのだろう。

でも、こんな至近距離にいるのに、俺は話しかける勇気が出ない。

何故なら、俺の胸のドキドキは最高潮に達していたからだ。

ああ、そっか。

俺は、この少女に恋をしてしまったんだ。

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