振り返って、キス




とりあえず弁当とはしをうつむいたまま丁寧におく





Γうん、そうして」




一条くんが喋る度、ふわふわと吐息が口にかかる





その私の唇を、さらに長い指が撫でる





Γだいじょーぶっ」





耐えきれなくて、両手で胸を押し返した





一条くんはあっさりどいてくれて





Γごめんね、びっくりした?」





申し訳なさそうな、でも、少し楽しんでいるような





そんな顔で聞いてきた





Γし、したよ…したに、決まってる…」





こんな恥ずかしいこと、生まれて初めてだもん







Γドキドキ、した?」





Γ…うん」





Γ彼女出来たら、こんな感じかぁ」





隣でニカッと笑う一条くんの笑顔に、ドキリとする





Γそう、だね…」




Γ…どうかした?」





少しうつむいた私の顔を覗きこんでくる





Γううん!何でもない!お弁当食べよ!」






こんな風に、ドキドキさせられたり、押し倒してキスをしたり






他の女の子とそういうことをする一条くんを想像すると






胸が少し、痛い



















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