漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
苦しかった恭の幼少時代。
そこにこの二人が居てくれた事、心から良かったと思う。
荒んでもおかしくない幼少時代を過ごしてきた恭が、今ここでこうやって微笑んで居てくれるのは、柚菜さん、理さんのお陰なのかもしれない。
恭はあたしに微笑みながら、あたしの手を優しく握る。
「茉弘ちゃん!」
柚菜さんがあたしの肩をガシッと掴んで真剣な顔を作る。
「姫さん、色々大変だけど頑張ってね!!!」
「へ??」
この時のあたしは、恭の傍に居られる喜びに浸るだけで精一杯だった。
だから、この先にどんな試練が待ち受けているかなんて、知るよしもなかったんだ……。