漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
時は来たり
冬の風がより一層冷たくなった。
道の端々には、一昨日くらいに降った雪がまだ溶けずに残っている。
今にも凍りついてしまいそうな手を、自分の吐息で温めていると、優しくその手を握られて彼のポケットの中へ。
「天然カイロです」
そう言ってフワッと柔らかく微笑む恭に、
「何それ。変なの」
と言う素直じゃないあたしの内心は、幸せな気持ちでいっぱいだった。
「恭ー!茉弘ちゃーん!おっそいよー!!今迎えに行こうとしてたんだよー?」
倉庫の入り口から飛び出して来た春馬が、あたし達に気が付くなり頬を膨らませる。
「近くのスーパーやたらと混んでたんだよ。はい。コレ」
恭は、持っていたスーパーのレジ袋を渡す。
「お♪酒も入ってんじゃんー♪よく買えたなー!年齢引っ掛かんなかった?あ、恭老けてるからなー!」
「ぶっ!」
思わず吹き出したあたしを恭がふて腐れた顔で見てくる。