漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
瞼の裏に、恭の優しい笑顔が浮かぶ。
"茉弘。大丈夫。俺が側にいるから"
笑顔の恭は、そう言っているような気がした。
恭……
あたし、もっと強くなりたかった。
潤も、煌龍のみんなも守れるくらいに、
強くなりたかったよ……。
結局あたしはどっちも守れなくて、
ただ、こうやってこんな奴に頭を下げるしか出来なくて……
こんなにも自分を無力だと感じたことはない。
あたしなんてどうなってもいい。
それで大切な人達が幸せになれるのなら、あたしの幸せなんていくらでも差し出す。
だからどうか……。
神様っ…………
止めどなく涙が溢れてくる。
葛原にバレないように、
肩が揺れるのを隠すのに必死だった。