漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


瞼の裏に、恭の優しい笑顔が浮かぶ。



"茉弘。大丈夫。俺が側にいるから"



笑顔の恭は、そう言っているような気がした。



恭……



あたし、もっと強くなりたかった。


潤も、煌龍のみんなも守れるくらいに、


強くなりたかったよ……。



結局あたしはどっちも守れなくて、


ただ、こうやってこんな奴に頭を下げるしか出来なくて……



こんなにも自分を無力だと感じたことはない。



あたしなんてどうなってもいい。


それで大切な人達が幸せになれるのなら、あたしの幸せなんていくらでも差し出す。


だからどうか……。


神様っ…………





止めどなく涙が溢れてくる。


葛原にバレないように、


肩が揺れるのを隠すのに必死だった。



< 161 / 347 >

この作品をシェア

pagetop