漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


「栗山と居てさぁ。幸せボケしちゃってんじゃねぇの?
なぁー?潤。お前のねーちゃん。お前を助けるの止めちゃったみてーよ?どーする?」


「ちがうっ……!」


「違くねーだろ」


「ぐ……っ!」


葛原の手があたしの首に掛かり、あたしの気道を塞ぐ。



違う。


違うよ。


絶対に潤は助ける。


その気持ちは今でも変わらない。


変わるはずがない。



ただあたしは、誰かを利用して、誰かを陥れて、"助ける"なんてやっぱり間違ってる。


そう思ったんだ。


そんな事をしたら、あたし達の代わりに、また誰かが不幸になるだけ。


そしてきっと、またあたしみたいな人間を生むだけだって。



潤以外に何も大切なものがなかったあの頃のあたしは、潤さえ助けられれば他はどうなったって構わなかった。


だけど、恭に出逢って、


色んなものを背負っても尚、前を向いて生きている恭を見て、


この人を踏み台にして成り立っている幸せなんておかしいんじゃないか。


そう思ったんだ。


あたしが裏切った事で、あたしが傷付く分には構わない。


だけど、恭や恭の大切な人達を傷付けることはしたくないって。

< 163 / 347 >

この作品をシェア

pagetop