漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】



あたしは、ぎゅっと拳を握りしめ、葛原を真っ直ぐと見据えた。


この状況でうろたえないあたしに驚いたのか、一瞬葛原の目の中が怯んだ気がした。


「……っ」



苦しい……



だけど、こんな暴力なんかに屈するもんか。


潤も


恭も


煌龍のみんなにも


絶対に手出しはさせないっ!






───「勘弁してください」


その言葉と共に、あたしの首から圧迫感が消える。


「ゴホッ……ゴホッゲホッ!!」


いきなり沢山の空気が気道に流れ込んできたせいで、あたしは地面に突っ伏してむせ返った。


熱くなった喉を押さえ、涙目になりながらゆっくりと顔を上げると……


「じゅ……ん……」


葛原と睨み合う潤の姿があった。


潤はあたしの首に掛かっていた葛原の手首を握っていて、葛原も負けじと力を入れているのか、二人の腕がギリギリと揺れる。

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