漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
こだまする着信音。
その音が鳴ったと同時に、葛原の手がピタッと止まる。
そして葛原はチッと舌打ちをして、ズボンの後ろポケットからスマホを取り出し耳に当てた。
「……うるせぇ!!何だ!?
……あ?……あぁ。チッ、分かった。そっちで待ってろ」
葛原はスマホをしまうと、またあたし達に目を向ける。
「お前らの措置は後回しだ。最期に兄弟ごっこ出来る時間をやんよ」
葛原は、また不気味な笑みを向けてくる。
「あと、茉弘。一応言っとくが、ココは鷹牙の隠れ倉庫でな。鷹牙でも一部の奴ら以外に知ってる奴はいねぇんだ」
……そういえば、あたしが知ってる鷹牙の倉庫とは違う気がする。
もっと不気味で、寒気がするほどに殺風景だ。
「つまり、どういう事か分かるか?」
葛原は、あたしの顎を持ち、強引に自分の方へ向かせる。
「誰も助けなんて来ねぇってことだよ」
「……っ」
あたしの耳元でそう囁くと、葛原は青くなっているあたしの顔を満足そうに一瞥し、潤が入って来たドアから出て行った。