漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


あれ?


アレ!?


あれぇーーー!?


「んーーーーっ!」


予想に反して、塞がれた唇。


深く、溶けてしまいそうなキスに、イタズラ心はどこへやら。


恭の胸を叩いて止めようとしても、余計に激しくなる。


抵抗を止めた頃に、漸く唇が離された。


「……はっ……恭っ……」


「唇も消毒。」



───ドクン


そうだ。


あたし、葛原にキスをされたんだ。


背筋に冷たいものが走る。


青冷めたあたしを見て、恭があたしを抱き締めた。



「……次は、絶対に守るから。

指一本たりとも触れさせない。」



葛原への恐怖心は消えない。


だけど、あたしにはこの人が居る。


「……うん」


恭が居てくれるから、何も恐れることはないんだ。
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