漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「恭……?」
「ん?」
「して……いいよ」
「え……?」
恭は、目を見開く。
「聞き……返さないでよっ」
どうしようっ!
凄く恥ずかしい!
まさか、自分がこんな事を口走る日が来るなんて……。
顔を隠すあたしの手を、恭は優しく剥がす。
「本気で言ってるの?」
そう言ってあたしの瞳を覗き込んでくる恭の瞳は真っ直ぐで、あたしの心の中をくまなく探ってくる。
そんな恭に、あたしはゆっくりと頷いた。
「……あたしの……全部……
恭のにしてください。」
ありったけの、勇気を振り絞ってそう伝えると、
「……っ」
恭が、力なくヘナヘナとあたしの胸に顔を埋める。
「……人がせっかく……牽制してたのに。……まったく……」
「恭?」
顔を上げた恭は、熱っぽい瞳をあたしに向けていた。
「覚悟は……出来てるの?
多分……途中で止めてって言われても、俺止められる自信ないよ?」
……もちろん怖くないわけがない。
手も足も震えてるし、息の仕方も忘れそう。
でも……
それでも……
「……っ……出来てるっ」
あたしの全部が恭でいっぱいになればいい。