漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】



「恭……?」


「ん?」


「して……いいよ」


「え……?」


恭は、目を見開く。



「聞き……返さないでよっ」



どうしようっ!


凄く恥ずかしい!


まさか、自分がこんな事を口走る日が来るなんて……。


顔を隠すあたしの手を、恭は優しく剥がす。



「本気で言ってるの?」



そう言ってあたしの瞳を覗き込んでくる恭の瞳は真っ直ぐで、あたしの心の中をくまなく探ってくる。



そんな恭に、あたしはゆっくりと頷いた。




「……あたしの……全部……

恭のにしてください。」




ありったけの、勇気を振り絞ってそう伝えると、



「……っ」


恭が、力なくヘナヘナとあたしの胸に顔を埋める。


「……人がせっかく……牽制してたのに。……まったく……」


「恭?」


顔を上げた恭は、熱っぽい瞳をあたしに向けていた。


「覚悟は……出来てるの?

多分……途中で止めてって言われても、俺止められる自信ないよ?」



……もちろん怖くないわけがない。


手も足も震えてるし、息の仕方も忘れそう。


でも……


それでも……



「……っ……出来てるっ」



あたしの全部が恭でいっぱいになればいい。

< 256 / 347 >

この作品をシェア

pagetop