漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「俺が言いたいのは、コレだけだ。」
恭は、後ろに隠れているあたしの体を胸に引き寄せる。
「何がなんでもこの子を守れ。」
シンとする倉庫内。
「この子には、俺の心臓を半分預けていると思っていい。
この子に何かあれば、俺も終わると思え。」
一瞬ヒヤッと背筋が冷たくなる。
"あたしに何かあれば、恭も終わる"
「みんなには、それくらいの覚悟を持っていて欲しい。
この子を守るという事は、俺らとお前らの居場所を守るという事だ。
姫を取るという事が、デメリットにしかならないと言う奴も居るだろう。正直、俺も茉弘に出会うまでそう思っていた。
でも今は、そうは思わない。
この子を守りたいと思う気持ちが、俺の力になるんだ。」
恭……。
そんなの初耳だよ。
そんな風に思ってくれてたの?
嬉しい……。
凄く嬉しいけど、自分にそんな価値があるとは到底思えない。
だって、あたしはいつか……
前から2列目くらいに立っている、ちょっとひ弱そうな金髪君が「あの……」と言いながら、そっと手を上げる。
「どうした?洋介。」
「すみません……総長……あの、でもハッキリさせたくて……。」
洋介は、モジモジしながら何かを言い辛そうにしている。
「なんだ。ちゃんと言え。今ここで言いたい事をうやむやにしても、俺にもお前にも何の特にもならないだろ。」