漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
恭は、ダイニングテーブルの椅子から立ち上がると、あたしの前を通ってソファーに座り直す。
そして、あたしに向けて両手を広げてニコニコしながらウェルカムと言わんばかりの態勢に。
「……んなっ!意味わかんないっ!!行かないよっ!!」
「えー。少しくらいいいじゃないですかー」
一体どうした!
そのキャラは!!
「よ、よくないからっ!」
「照れてるの?今さら今さらー」
こ、こいつ……
日に日に押しが強くなってきてる気がする……
「ほら。ね?」
「……っ」
恭はやっぱりずるいと思う。
そんな、愛しいものでも見るような瞳で見詰められたら、あたしが逃げられないの知ってるんでしょ?
あたしは渋々座っている恭の前まで移動する。
そして、遠慮がちにちょこんと恭の膝の間に座った。