漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】

その瞬間、


いつものあの香りがやってきて、あたしのとはまるで違う、ゴツゴツして硬い、男の人の腕があたしに回された。


「リクエストは対面だったんだけど。」


耳元でそう囁く恭。


恭の息が耳にかかってくすぐったい。



「む、無理っ…ただでさえ顔見るの……恥ずかしいのに……」


「そうなの?」


「……っあ……」



小さく笑うと恭は、あたしの首筋にキスを落とす。



ふぎゃーーーーー!!!



「ちょっ!恭ーっ!ストップ!!」


そんな恭の顔を両手で押しやるあたし。



すいませんっ!


あたしもう、昨夜からとっくにキャパオーバーなんですっ!


「昨日の積極的な茉弘はどこにいったんでしょうか……」


「はがぁっ!!??」


わざとらしくふて腐れた顔でボソッとそんなことを言う恭は、どれだけあたしを動揺させれば気が済むんだろう。


とにかく落ち着けあたしっ!


話題を変えようっ!
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