漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】

男は、恭の言葉で意を決したように話し出す。


「……最近、煌龍内部で反乱因子が出てるって、本当っすか?」


え?


これって、まだ幹部しか知らないトップシークレットなんじゃ……。


チラリと恭を見ると、特に驚く様子もなく、


「事実だ。」


と答える。


側で、春馬が驚いた顔をしたのが分かった。


倉庫内がざわめく。



「そんな時に、姫とか言ってて大丈夫なんすか!?内部に敵が潜んでるかもしれない状態で姫を守れって……そんな無茶な……!」


堰を切ったように今度は、一列目に立っている頭のきれそうな男が言う。


すると、色んな所から「何考えてんだ。」とか、「自滅行為だ。」とか、批判の声が聞こえて来る。


まずい……。


不安は不満へと繋がる。


このままじゃ、煌龍に亀裂が入る。


「大体、反乱因子が出たのには、総長にも原因があるんじゃないですか?」


そう長髪の男が言うと、その隣に居る男が、「おいっ!言い過ぎだ!」と言ってそれを止める。


だけど、その男は止まらない。


「茉弘さんて頻繁に倉庫に来てましたよね?この前の抗争の時も総長"俺の"とか言ったらしいじゃないですか。
本当はとっくに付き合ってたんじゃないですか?俺らに隠して、そんなに俺ら信用ないすか?そんなに信用されてなきゃ、裏切りたいと思う奴も出てきて当然でしょ。」



---------ぷちん



「?茉弘?」


あたしは、恭からマイクを奪い取る。


そして、



「うるさーーーーーーーーいっっ!!!」



マイクに向かって叫ぶと同時に、マイクがキーンと音を鳴らす。


倉庫内の人という人が、耳を塞いで顔をしかめる。


そのまま倉庫内は、シンと鎮まり返った。


「黙って聞いてりゃあんた達……言いたい事ばっか言いやがって…………」


「まっ、茉弘ちゃん落ちつい……」


春馬が止めに入ろうとするが、あたしはその手を払う。


マジであったまきた!!!


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