漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


「オイッ!!!そこの暑っ苦しい頭した奴ッ!!」


長髪の男は、思わず「ハイッ!」と返事をする。


「信用してないのはあんたの方でしょ!?

恭は、昨日の今日まで姫を取るつもりなんて一切なかったっ!!!それがどうしてか分かる!?あたしと、あんた達の為よ!!!私を危険にさらしたくないから!あんた達に負担を掛けたくないからっ!!煌龍を失う原因を増やして、あんた達を不安にさせたくないからでしょ!?」


みんな、ぽかんと口を開けてあたしを見ている。


「そんなのも分かんないで、デカイ口ばっかり叩いてんじゃないわよっ!!!」



長髪の男は、真っ赤になって悔しそうな顔をする。


それを隣の男がなだめる。


「それと、さっきからあたしを守るだの守れないだの言ってる奴らっ!!!」


あたしは、全員に向かって指をさす。


「あたしは、あんたらなんかに守られるつもりはないっ!!!
姫だか何だか知らないけど、自分の身くらい自分で守りますっ!!!」





スッキリしたと同時に、後悔の念が過る。


あたし……ま、またやっちゃった??


みんな唖然として、ピクリともしない。


倉庫内は静かすぎて、夏の虫の音色がリーンリーンと聞こえるくらい。



さっきまで、怒りで熱いとさえ感じた体が、一気に冷えていく。


また、暴走しちゃったよ……。



「ぶっは!!!!」

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