漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
そんなあたしに、恭は一度憂いを帯びた笑みを零すと、強くあたしの身体を引き寄せて、
「……っ!」
強引なキスをした。
「ちょっ!?ありえないっ!こんな人前でっ!!」
「安全祈願ですよ♪ヤル気貰ったんでお返しです♪」
「いらないから!」
さっきまでの可愛さはどこいきやがった!!
「ちょっとさー。人のバイクの上でイチャつくの止めてくんない?恭。あたしには?」
「するかバカ。」
「ちょー!見てみい!あっちもやっとるで!!なんやこのエロチームは!!」
あたし達の前方では、太一と百合さんのいつもの儀式が交わされている。
心なしか、いつも強気な百合さんの瞳が潤んでいる気がした。
太一も、百合さんに優しく何かを言いながら、愛おしそうに頬に触れている。
百合さんの言葉が蘇ってくる。
“あたしも男だったら良かったのにっていつも思う。そしたら、ああやって一緒になって戦えるもんな。”
本当は、百合さんだってついて行きたいに決まってる。
きっと、ここで帰りを待つ方が何倍も何十倍も精神的に辛いだろう。
それでも、それが自分の役目だと言った百合さん。
やっぱり、とても、とても強い人だ。