漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


やっぱり…という気持ちの方が大きかったからだ。



そういう事だったんだ。と、


色々な事が一つずつ繋がって、やがて一本の線となる。



恭の瞳の奥に潜んでいる影の理由が、今やっと分かった気がする。



何だろう?


何がって言われてもよく分からない。


自分だって自分がよく分からない。


だけど今、私はものすごくショックを受けている。



私の前にいる男は、ふっと息を漏らす。



「お前を見てると、昔の“あいつ”を見てるみてぇだな。

容姿は母親似だが、目は昔のあいつによく似てる」



そう言われた恭は、とても嬉しそうには見えなくて…


苦しそうな表情で瞳を落として、暗い笑みを浮かべた。



男はそれを見て、溜息のような息を漏らしながらゆっくりと立ち上がる。


「そうあいつを恨んでやるなよ。栗山んとこのせがれや」



「…恨んでるわけではありません。
ただ、俺はあの人みたいにはなりたくないと、そう心から思うだけです」



「……そうか」



恭のその言葉に、寂しそうな笑みを浮かべながらそう呟いた。


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