漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「お前がどう思おうと、あいつがどんなに腐ろうと、お前らが親子っていう事実は消えねぇんだ。
たまには、実家に顔出してやれよ」
そう言って葛葉の父親は、恭の肩を強めに叩くと、側に居た付き人らしき人に、
「バカ息子とその手下の片付けはてめぇらがしてやれ。後は全員解散させろ」
そう命令口調で言うと、付き人が威勢良く返事をして、その部下達に指示を出す。
その部下達に促されるまま、わらわらと人がばらけていく。
あたしは、それをぼうっと見ていた。
「大丈夫?茉弘」
潤が心配そうにあたしにそう聞くけど、上手く頭が回らない。
座り込んだままのあたしに、影が掛かる。
見上げれば、そこには寂しげな笑みを浮かべた恭の姿。
「…帰ったら…茉弘に話さなきゃいけない事があります」
恭は、あたしに手を差し伸べる。
「聞いて…くれますか?」
あたしはきゅっと唇を結び、ゆっくりと頷く。
今にも涙が溢れそうだ。
「帰ろう」
あたしは、震える手で恭のその手をとった。
恭の手は、驚くほど冷たかった。