漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
直が百合に殴られるのも無理はねぇ。
こいつ。マジ空気読めてねぇ。
いや。わざとか?
こいつは前からこのちんちくりんに気があるからな。
恭とこいつが思い合ってると知って、諦めついたのかと思ったが、往生際の悪い奴め…。
だいたい、今のこいつに冗談は通じねぇっつの。
ほら見ろ。
このちんちくりんの不安そうな顔。
「お前こそ何か心当たりねぇのかよ?
あいつの事だ。人があんまりいねぇとこで昼寝でもしてんだろ」
俺がそう言うと、
「人がいなそうなところ…」
と考え込むちんちくりん。
それから何かを思いついたのか、はっとした顔で俺を見ると、
「太一!ありがとうっ!」
そう礼を言って、幹部室から駆け出て行った。
なんだよ。
妙に素直じゃねぇか。
ツンと袖を引っ張られる感覚に気付いて目を向けると、百合が不安そうな顔で俺を見ていた。
「茉弘達…大丈夫なのかな?」
「何が。」
「何がって…。結局あれから二人共、まともに話もしてないんでしょ?」
春馬と直も神妙な面持ちだ。
そう。
俺らはあの日鷹牙を倒し、本当の意味でこの地区のNo. 1になった。