漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
もう俺達に立ち向かってくる者はいない。
昔、暴走族や不良チームが好き好きに暴れ回り、治安が悪く荒れ果てていたこの地区は、とうとう俺達が完全に統一した。
俺達の許可なしに暴れ回る事は許されない。
今やこの地区は抗争一つない、平和な地区というわけだ。
それもこれも恭の実力なわけで、
その恭自身にはあのちんちくりんという支えがあったからだ。
なのにあいつらは、まだややこしい事をごちゃごちゃやってる。
まぁ、そもそも恭があいつに自分の生い立ちを隠してやがったのが悪いんだ。
だけど、俺はよく知っているから…
恭が、どれだけ自分の生い立ちを嫌っているのかを。
だから、恭がちんちくりんに話したくなかったのもよく分かる。
一概に恭を責められねぇ。
「茉弘ちゃんはさ、どうするつもりなのかな?まさか…恭と別れて、姫も辞めちゃうとか…」
「ちょっと春馬!縁起でもない事言わないでよ!」
「…うん。でも、百合も見ただろ?恭の出生を知った日、帰ってきてからの茉弘ちゃんの顔。簡単には受け入れられないって顔だった…」
あの時のちんちくりんの顔が浮かぶ。
顔は青ざめて、手は小刻みに震えてた。
ショックを隠せないといった顔。