漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「えっと…?じゃあ、知ってるって事は…」
「うん。煌龍が出来る所までは大体聞いた。恭の生い立ちとかについては、太一は伏せていたみたいだけど」
「…そうですか…」
「うん…」
2人の間に沈黙が流れる。
真冬の夜は怖いほど静かで、冷たい風が葉を揺らす音だけが聞こえてきた。
俺は話を続ける。
「前にも話しましたが、母さんの事もあってか、守らなきゃならないものを作る事を俺はずっと恐れていました。大切なモノを失うくらいなら、いっそ一人の方がずっと楽だったから…。まさか、暴走族の総長なんかやる羽目になるなんて、太一に出会うまでの俺は思ってもみませんでした。」
あの日。
太一と手を組んだ時、始めて誰かが隣に居てくれる喜びを知ったのかもしれない。
それでもいつだって付き纏っていた。
“失う恐怖”が。
「高校に入って、俺は親父や組員の反対を押し切ってすぐに家を出ました。
今思えば、それがいけなかったのかもしれません。家を出た事によって、俺は俺の運命から逃れた気になっていた。母さんを殺した、真っ黒な極道の世界から抜け出せた気でいた。
バカですよね。どうやったって俺の中では、あの世界の血が流れているのに。
今住んでいる家だって、生活費だって、全部親父の金なのに…」
「うん。煌龍が出来る所までは大体聞いた。恭の生い立ちとかについては、太一は伏せていたみたいだけど」
「…そうですか…」
「うん…」
2人の間に沈黙が流れる。
真冬の夜は怖いほど静かで、冷たい風が葉を揺らす音だけが聞こえてきた。
俺は話を続ける。
「前にも話しましたが、母さんの事もあってか、守らなきゃならないものを作る事を俺はずっと恐れていました。大切なモノを失うくらいなら、いっそ一人の方がずっと楽だったから…。まさか、暴走族の総長なんかやる羽目になるなんて、太一に出会うまでの俺は思ってもみませんでした。」
あの日。
太一と手を組んだ時、始めて誰かが隣に居てくれる喜びを知ったのかもしれない。
それでもいつだって付き纏っていた。
“失う恐怖”が。
「高校に入って、俺は親父や組員の反対を押し切ってすぐに家を出ました。
今思えば、それがいけなかったのかもしれません。家を出た事によって、俺は俺の運命から逃れた気になっていた。母さんを殺した、真っ黒な極道の世界から抜け出せた気でいた。
バカですよね。どうやったって俺の中では、あの世界の血が流れているのに。
今住んでいる家だって、生活費だって、全部親父の金なのに…」