漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
茉弘が好きだ。


側にいたい。


側にいて欲しい。


離したくない。


触れていたい。


何よりも、


この世界のあらゆるどんなものよりも、



愛してる–––––



「だけど…俺は、親父のようには…なれない」



俺は、ゆっくりと茉弘から身体を離す。


「茉弘は、俺がヤクザの組長の息子だと分かった時、もう悟っていたんだろ?こうなる事を…」


だから、君はあの時驚いた顔で声を失っていたんだ。


決して、俺の出生の事実を軽蔑したわけじゃない。


俺の事をよく分かっている君だから…。


頭の良い君だから…。


きっと、こんな日が来る事を知っていた。



見詰めた彼女の瞳に涙が溜まっていくのが分かって、胸の奥が締め付けられる。


君を泣かせたくなんかないのに…


俺が見たいのは、君の笑顔なのに…––––



それでも俺は、この選択をするんだ。



「茉弘…出逢ってくれてありがとう。俺の前に現れてくれて…ありがとう。」


茉弘の頬を一筋の涙が伝う。


「茉弘が居たから、俺は強くなれたんだ。」


俺はその涙を拭う。


「最後にもう一度、茉弘を守らせて」


たった1つの俺の大切な人だから…–––––




「茉弘…。俺達、別れよう」




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