漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「絶対に許さないっ!
あたしの為だとか言って、そんな選択をする恭なんて、自己中のバカ眼鏡だっ!!」
「バカめ…」
一体、何がどうしてこうなったんだ?
怒られている趣旨が分からなくて、目の前の茉弘にあたふたする事しか出来ない俺。
あぁ。
前にもこんな事があったな…。
そんな事を思う。
茉弘が俺が思っていたものと違う反応を見せるのは、大概俺が間違った選択をしている時。
彼女が望まない、もしくは彼女が納得のいかない選択をしてしまった時だ。
「そうよっ!恭が、こういう選択するなんて分かってたよ!!!だけど、ひょっとしたら、あたしの事を信じてくれるかもって…っ!期待したあたしがバカだった!!!」
「何を言って…」
茉弘は俺から離れ、座ったままの俺を見下ろす。
「恭はそんな事言われて、私がはいそうですか。って別れると思ったの?」
「……!」
「あたしがそんな簡単に、離れると思ったの!?」
怒りと悲しみの入り混じった茉弘のその表情が、俺の愚かさを物語っていた。
俺のこの選択は、いつか彼女が傷付かない為の唯一の選択だった。
俺は、親父みたいになりたくない。
茉弘を母さんのような目に遭わせたくない。
これは全部、俺のエゴだ。
茉弘の意思など関係なく、そうする事が茉弘の為だと…そう決めつけていたのは全部俺じゃないか。