漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
茉弘がそれを望んだ事なんて、一度だってあったか?


「あたしの幸せを恭が勝手に決めないで」



あぁ…


俺はなんて…



「あたしは、恭がいるだけで…
恭の側に居られるだけで、幸せなのっ!

恭が何者かなんて関係ないっ!未来に何が起こるかなんて知らないっ!あたしが、未来の恭のお荷物になったとしても…側に居られない日がこようと…それでもっ…


一緒に居たい…っ」



無意識に彼女に伸びる感情を、俺は抑える事が出来なかった。


彼女を求めるように伸ばしたその手は、手加減など出来るわけがなくて、


荒っぽく彼女の腕を引くと、自分の胸の中にキツく拘束した。


「俺は…バカだ…。茉弘も…バカだ」


「バカでいい。……恭が…言ったんだよ。ワガママ言ったっていいって…」


「うん。言った…。確かに言った」


俺は茉弘を抱く腕に更に力を込める。


彼女もそれに応えるように、俺の背中に腕を回した。





俺は、親父と同じ道を辿るのだろうか。


先の見えない真っ暗な道に彼女を巻き込んで、母さんと同じような目に遭わせてしまうのか?


分からない。


まだ見ぬ未来を案じたって、答えなんか出るはずがないんだ。




分かっている事は、


俺は彼女を守りたい。


彼女を守るのは、俺でありたい。


ただそれだけ。


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