漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
今まで、こんなに人の事を知りたくなった事がないから、今の自分の気持ちに凄く戸惑う。
恭の近くに居れば居るほど、恭の事を知りたくなって……。
だけど、知りたいと思えば思うほど、あたしは全然彼を知らない事を実感する。
これが人を好きになるって事なの?
人を好きになんてなったことがないから、分からないっての。
「おい。」
駅に着くと、呼び止められる。
声の主を探してみれば、
「理さん!?」
改札前で理さんが壁に寄り掛かりながら立っている。
エプロンもしていないし、お店で見るのとはまた違った様子の理さんに、一瞬誰だか分からなかった。
「どうしたんですか!?丁度今からお店に行こうかと思ってた所で……。」
「俺らの店は、一応煌龍の外の地区だからな。柚菜が何かあったらって心配だから、迎えに行けって。」
「あ。」
そっか。
お星さま☆がある所は、煌龍の縄張りじゃないんだ!
近いからてっきりそうだと思い込んでた。