漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
それに……
あたしは、チラッと周りの様子を見る。
男女問わず、誰もが彼を見ている。
女の人は、頬を染めて。
男の人は、憧れの眼差しで。
理さん……凄い注目を集めてるよね?
この前に会った時も思ったけど、何だか並外れた人だと思う。
背だって人一倍高くて、筋肉質な体。
でも一見、モデルのようにスラッとしていて、しかも、物凄く整った顔立ち。
普通の人とは、違ったオーラを持っている。
強いて言えば、少し無愛想だけど…。
あたしの視線に気が付いたのか、理さんはあたしを見て
「何?」
と聞く。
「あ、いや……。理さんて、総長さんだったんですよね?」
「……まぁ。そんな事もあったな。」
うぅ。そんな事もあったな。って。
何とか話を繋げようと、必死に次の言葉を探す。
「えっと……やっぱり総長って、大変でしたか?」
「?まぁ……それなりに……。何で?」
「いや、えっと……あんなに沢山の人をまとめ上げるなんて、あたしにはとても考えられないので……。大変なんだろうなって。」
「あの中には色んな考えを持った奴が居るからな。笑ってりゃ勝手にまとまってくれるってんならいいが、そうはいかねーわな。」
確かに。
その人それぞれに合った対応をしなくちゃいけないんだもんな。
簡単にはいくはずがない。