漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
恭の香り。
恭の体温。
まるで心が溶かされていくような、そんな感じ……。
「き、恭っ……。」
「……ん?」
「あのっ……そろそろ離れないとっ……誰かが……」
「うん。」
恭は、あたしの耳の辺りにキスをする。
「……んっ……」
うん。じゃなくてっ!
うん。じゃなくて~っ!!
「恭っ……。」
「離したくねぇなぁ……。」
そう言って、恭はまたあたしを抱き締める。
うぅ……。
このままじゃ、心臓がもたない……。
「……恭?」
「なに?」
「…………あたし、恭の傍に居てもいいの?」
恭が、やっとあたしとの距離を開けてくれる。
「不安?」
あたしの心を見透かすような、恭の瞳。