漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
あの女ならあいつの心の傷を、少しずつでも癒してやれるのかもしれない。
あの女の側に居るあいつを見てれば分かる。
あの女も、最初は笑うことも少なくて、何考えてんだか分かんない奴だったけど、最近のあいつは何か違う。
変わったって言うのかな。
雰囲気が柔らかくなったよな。
あいつはあいつなりに、恭を大事に思ってるんだろう。
俺に百合が居るように。
恭にはあの女が居る。
煌龍の奴等も居る。
俺らは、もう一人じゃないんだな。
あの時の俺らには想像出来ねぇよ……。
***
恭との出会いは中2の時。
本っ当クソみたいな出会い。
その日の俺は、鬱憤が溜まってた。
兄貴ばっかり可愛がって、俺の事は見えていない両親。
事ある毎に、"お前はお兄ちゃんに比べて"と罵られる毎日。
うざってぇ。
いっそこの世なんて滅んじまえばいい。
地球爆発しろよ。
そんな事ばかり考えてた。