漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
その日もそうだ。
朝から母親に"お前なんか生まなきゃ良かった"って言われた。
全部お前が勝手にやった事だろ。
こんなバカ生んだのはお前だ。
ムシャクシャして仕方なくて、授業なんか受ける気は毛頭なくて、サボる気満々で来た裏庭。
--------ガシャン!!!
思わず体が跳ねるようなすげぇ音がして、音の出所を探す。
植木の影で何かが動いたのが見えて、そっと様子を窺う。
目の前に現れた光景を見て、俺の体に電流が駆け巡る。
何人もの男が倒れてる。
その真ん中に、返り血で制服のシャツを染める、俺と同じ年くらいの男。
顔についた血を袖で拭いながら、俺に気が付いてこっちに顔を向ける。
色素の薄い焦げ茶の髪に、鋭い目。
女子がキャーキャー言いそうな顔立ちしてるけど、こりゃ誰も近寄れねぇな。
こいつから出てる威圧感は尋常じゃない。
「何お前。
これ全部お前がやったの?」
「………」
「すげぇな。全部高校の連中だろ?
強いのな。」
「………」
このやろ。
シカトかよ。
目の前の男は、自分の鞄を拾い上げ俺に背を向ける。