漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
恭が幹部室を出て行こうとすると、
「今のお前の言葉は、今までお前が生きてきた世界の色の言葉だろ。」
恭の足が止まる。
「そうじゃない色の言葉も必要って事だよ。」
理さんは、雑誌のページをめくりながら話す。
「お前の隣のガキみたいに、そんなお前の言葉でも分かってくれる奴はいる。
でも、そんなのは一握りだぞ?
相手を威圧しない、相手に恐怖心を与えない、そういう色の言葉を使えるようになれ。」
「………。」
「そうすれば、人は必ずついてくる。
お前には、その素質があるよ。」
恭は、小さい声で「どーも。」と言って、幹部室を出る。
俺もその後を追い掛ける。
その時俺は見たんだ。
まるで親に褒められて喜ぶ、子供のような恭の嬉しそうな横顔を……。
何だ。
本当はお前が一番、あの人に憧れてたんじゃねーか。
「なぁ恭。」
「あ?」
「俺らのグループは、お前が総隊長だ。」
「!」
「俺は、お前を全力でサポートしてやる。」
「でも、お前が族を作るって言い出したんだ。お前が……」
「俺は何でもいいんだよ。」
「?」
「お前とつるめりゃ何でもいい。」
恭は一瞬驚いた顔をして、照れたのか腕で口元を隠す。
「気持ち悪ぃ!言ってろよ!」
この天の邪鬼め。