漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
大暴走
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季節は移り変わり、11月も残すところ数日。
「茉弘さん!下りてください!ホント危ないですって!」
脚立の足を押さえながら、俊太が心配そうな声を出している。
「大丈夫だよこれくらい。」
「いや、危ないのもそうなんすけど、俺このポジションは、総長にバレたら絶対に殺されます!」
俊太を見ると、少し頬を赤くしながら必死に目を瞑ってるけど…
?
意味わかんない。
何してんだろ?
そう思いながらも目的の場所へ手を伸ばす。
よし!
これで完璧っ!
「茉弘ちゃーん!クリスマスツリーの飾付け出来た?」
直が倉庫への入り口から顔を出し、あたしに声を掛けてくる。
「取り敢えず、こんなもんかな?」
「おーっ!上出来!!……うむ。絶景かな。絶景かな。」
直は何故かあたしを見ながらニヤニヤしている。
正直ちょっと気持ち悪い。
なんなんだ一体……。
すると、体が急にフワリと浮き上がって、
「きゃあっ!!?」
驚きの余り悲鳴を上げると、
「何をやってるんですか。」
あたしのお腹に腕を回して、軽々と持ち上げているのは、
「……っ恭!」
なんだか、少し不機嫌な様子の恭だ。