漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「総長お帰りなさいっ!!あのっ……俺は見てません!!絶対に見てませんっ!!」
俊太は、何をそんなに焦ってるんだろう?
「恭お帰りー。今日は早いじゃん。」
「ただいま。向こうで太一を待たせてるんだ。またすぐに出るよ。
俊太。大丈夫。分かってるよ。後で直だけシメておく。
あ、悪いんだけど、これしまってきてくれる?」
恭が脚立を俊太に託すと、
俊太は「はい!」と言って、そそくさと倉庫の中へ。
直は、青くなってそれについていった。
「ちょっと!恭!下ろしてよ!」
恭は軽々とあたしを抱えてるけど、絶対重いよね?
今すぐ下ろしてほしい。
そんなあたしを恭はジロッと一睨み。
なんだ~?
やんのか~?
あたしは思わずファイティングポーズでそれに応戦した。
「全く……」
そう言って恭は、何か諦めたように溜め息をつきながらあたしを下ろす。
そして、自分が着ているコートを脱いで、そっとあたしに掛けた。
「制服で脚立に上るってどういうことですか」
「え?何で?……あ。スカート?それなら、下にスパッツ履いてるし…」
そう言ってスカートを捲ろうとすると、
「そういう問題じゃありません。」
恭はあたしのおデコを軽くペチッと叩いてそれを制止した。
そして、恭の大きくて温かい手があたしの両頬を包み込む。
「頬っぺたもこんなに冷たくなって……」
「…だ…大丈夫……だよ?」