漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
そして、ゆっくりと手を開いてそれを恭に見せる。
「あれ。飾り?」
「うん。サンタの飾り。恭にも一つくらい飾り付けて貰おうと思って、取っておいた。」
恭の顔をちらっと見ると、愛しそうにそれを見ている。
「ありがと。茉弘。……かして。」
恭は、あたしの手からサンタの飾りを取ると、ツリーを見回す。
「この辺がいいかな?」
そう言って、ツリーに飾りをくくりつけている。
ふふっ。
まるで子供みたいな顔してる。
「あ。ちょっと曲がってるよ、
…よし。いい感じかな。」
恭が付けた飾りを直していると、ふと恭の視線を感じて顔を上げる。
「なに?」
「ううん。」
恭はそう言って微笑むと、愛しいものを見るような表情で、あたしの頭をクシャッと撫でた。
「じゃあ、そろそろ行きますね。」
「え?何か用事があったんじゃないの?幹部室にみんな居るよ?」
「うん?用事ならもう済みましたよ。」
「え?」
「茉弘の顔を見に来ただけですから。」
「!!!」
……しまった。
こんなの不意討ちだ。
どうしよう……嬉しい……嬉しい……。
体中がほんわか温かくなって、凄く幸せな気持ちになる。