漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
恭が触れた所全部が、熱を帯びて上手く息が吸えない。
「……っっ!」
耳、首筋、鎖骨の辺り。
あたしの寂しい気持ちを拭うように、恭は優しく唇でなぞっていって…。
「可愛い顔。
本当は、今にも連れさらって茉弘の全部俺のにしたい。」
「なっ!何言ってるの!?ばかっ!」
恭はふっと目を細めると、おもむろに眼鏡を外す。
あ…。
男の人の顔だ……。
「今日のところはこれで我慢かな。」
「……っ」
ゆっくりと恭の唇が落ちて来る。
まるで、一緒に居られない時間を埋めるかのような、そんなキスだった。