漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「茉弘。恭に会えたんだって?」
幹部室に戻ると、ポッキーをくわえた百合さんが出迎えてくれた。
あたしはコクンと頷いて、ベッドに座る。
ソファーでは、直と春馬が何やらゲーム機で対戦しているようだ。
「何だか夢うつつって感じだね。
何かあったのかなぁ~??」
百合さんはニヤニヤしながらあたしの隣に座る。
そして、人差し指でグリグリとつつく。
「別に何もないよっ!」
「へぇ~?そ~ぉ??」
恭への熱を冷ましてから来たはずなのに。
顔に出てるのかな……。
それとも百合さんが鋭いのか……。
百合さんを横目で見ると、一つの疑問が浮かんでくる。
「百合さん。最近太一に会ってる?」
「ん?どうした急に。」
「なんか最近、一緒に居るところ見ないから……」
百合さんは、考えるようにんーと天を仰ぐ。
「いや。全然会ってないね。」
そう言えば。と言うような口振り。
「最近は、ここに泊まってるみたいで家にも帰ってこないしね。」
百合さんは、もう一本ポッキーを取り出す。
「寂しく……ないの?」
百合さんはポッキーをくわえたまま、少し驚いた顔であたしを見る。