漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


そして、何かを悟ったように不適な笑みを見せる。


「茉弘は恭に会えなくて寂しいんだ?」


「っ!!!ち、違うっ!あたしの事じゃなくて!」


「ふふっ。茉弘って、あんまり自分の感情外に出さないタイプだと思ってたけど、中身は意外にピュアで甘えんぼなんだよね~。」


ピ、ピュア!?


甘えんぼ!?


あ、あたしが!?


「本当茉弘変わったよ。見てて可愛いったらない。」


百合さんはクスクスッと笑って、あたしの頭をグリグリ撫でる。


「も、もういいっ!」


「ははは!怒るな怒るな♪」


むむぅ……完全にからかわれてるな……。



「話戻るけどさ、この時期は仕方ないんだよ。」


「え?」


百合さんは、ベッドの上に仰向けに寝転がる。


自分でやったのだろうか。


キレイな赤でネイルされた爪を眺めながら。


「去年もこの時期はやたらと忙しかったし。」


「何で?」


百合さんは、ゴロンとあたしの方を向く。


「12月にね、年に一度の大暴走があるんだよ。」


「大暴走?」


「そう。すっごい大きな暴走だよ。
この地区の族という族が集まって、一緒に暴走すんの。
恭も太一も、この時期はそれの為の会合とかで忙しいんだよ。」



-----ドクン



大きく心臓が跳ねる。



だって……


この地区の族って……



「そ、それって……鷹牙……も?」


「そりゃそうだよ。あいつらも同じ地区だからね。」
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