漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「ごめんね!心配で見に来たら……その……ね?」
柚菜さんは、頬を赤く染めながら口に手を当てて嬉しそうに笑う。
あぁぁぁ。
絶対に一部始終見られてた……。
恥ずかしすぎる。
あたしが、頭から火を噴きそうなくらい赤くなっていると、理さんがあたしを見ながら口を開く。
「恭。この子を姫にするのか。」
「はい。」
「やっと、自分の過去と向き合う覚悟が出来たんだな?」
「……はい。」
理さんは、そう答えた恭を見て微かだけど嬉しそうに微笑んだ。
その隣で、今にも泣きそうな顔で柚菜さんも微笑んでいる。
そっか……二人共、恭の過去について知っているんだ。
まるで、息子の巣立ちを見送る、お父さんお母さんみたいに優しい顔で恭を見る二人。