漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「どんだけ可愛いんだよっ。ホント。」
そう言って、あたしをきつく抱き締める恭。
「薄々気付いてると思うけど、俺が敬語使えなくなったら、ちゃんと逃げなきゃダメだよ?」
「え?」
「俺の理性がきかなくなってる証拠だから。そろそろ俺、茉弘に色々抑え効かなくなってきてる……。
だから茉弘、自分の身は自分で守ってね?」
そう言って、恭はあたしの額に軽くキスをして丁寧に毛布を掛けてくれる。
そして、またあたしを抱き締めて、
「おやすみ。」
と言って目を閉じた。
逃げろって言われてもな……。
恭の腕、あたしにがっちり回ってるし……。
それに、そんな事言いつつ恭は、絶対にあたしの嫌がることはしないくせに。
恭の腕の中、大好きな恭の香り。
恭と出逢って初めて知った、"幸せ"という気持ちに埋もれる。
それにあたし……いつかあたしの全部あげるなら、恭がいい。
まだ恥ずかしいし、すっごく恐いけど、きっとそうなる時はそう遠くないんじゃないかな……なんて。
まぁ、絶対に恭には言ってやらないけどね。
あたしは、自分に巻かれた毛布を剥がす。
それを恭も一緒に入れるように掛け直して、再び恭の胸の中に潜り込んだ。