漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
聖なる夜と闇
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きらびやかな町並み。
流れてくる可愛らしいクリスマスソング。
そう。
今日は12月24日。
クリスマス・イブ。
恋人達が、静かに愛を語り合う神聖な日。
そんな日にあたし達カップルはというと……
「総長、茉弘さん、準備出来ました。」
「ありがと俊太。じゃあ茉弘、出発しますよ?」
「うん。」
ブォンという大きなエンジン音と共に、恭とあたしを乗せたバイクが動き出す。
バイクが倉庫を飛び出すと、冷たい外気が肌を刺す。
まさか、年に一回の暴走族の一代イベントが、こんな日に行われるなんて……。
誰よ。
こんな静かに過ごしたい日に激しいイベント作ったやつ。
お陰で初めて出来た恋人とのイブが台無しじゃんか。
つくづくあたしに平和なんてないなって思ってしまう。
そんな事を思っていると、恭の腰に回しているあたしの手に、恭が手を重ねる。
「茉弘。大丈夫ですか?寒くない?」
何百と列なって走るバイクの群れのせいで、恭の声が大分聞き取り辛い。
あたしは、その音に負けじと声を振り絞る。
「大丈夫。恭こそ手が冷たいよ?」
恭の格好は、前に見た事のある白い繋ぎ。
今日は黒のダウンも着ている。
周りのメンバーも白い繋ぎだ。