漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
そう思って、やっぱり胸が締め付けられる。
あたしもこの人の事を守りたい……。
だけどあたしは守るどころか、いつかこの人を傷付ける。
あたしは、恭を強く抱き締める。
ごめん恭。
ごめんね……
今だけは、あたしもあなたを守りたい……
───
「着きましたよ。」
「うわっ……」
着いたのは、周りに倉庫のような建物が並ぶ鬱蒼とした空き地のような場所。
壊れた工場のような建物が、解体されずにそのまま残されている。
人気がなかったら、絶対不気味であろうその場所に、
沢山の人・人・人。
物凄く厳ついバイクに跨がっている人もいれば、ヤンキー座りでタバコをふかしている人もいる。
柄の悪い人達が好き好きに過ごしている。
あたし達がバイクから下りた途端、みんなが一斉にあたし達を振り返り、攻撃的な視線を向けてくる。
あたしは思わず尻込みしてしまう。
あ、あたし場違い過ぎやしないだろうか……
「恭ーっ!!」
遠くから駆け寄ってくる見覚えのある人影。
「聖也さんっ!!」
今日も相変わらずの美人!!
「あんたの事なんて呼んでないわよ。」
そして、相変わらずの毒舌っぷり。
何ともつまらなそうな顔であたしを見てくる聖也さん。