漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
「き、気にしないで下さいっ!聖也さん間違ったこと言ってたわけじゃないんですから!」
聖也さんのあの忠告がなければあたしは、あの時恭の本心に気付くことが出来なかったかもしれない。
今も中途半端な関係で、恭と過ごしていたかも……。
そう思うと、あたしは聖也さんに感謝の気持ちさえ抱いているんだ。
それにこの人は、口調こそキツイけれど悪い人ではないと思う。
「だから、謝ったりしないで下さい。」
あたしは、微笑む。
それを見て、聖也さんが一瞬驚いた顔をした気がした。
「あんた……何でこんなことしてんの?」
あたしは、ビクッと肩を揺らす。
"こんなこと"って……?
「あんたみたいな奴が、恭を騙してるなんて信じられない。」
「……っ」
そうだった……。
聖也さんは、あたしが鷹牙のスパイだと知っているんだ。
「まぁ、いいわ。何も問い詰めないでおいてあげる。」
え?
「な、何でっ……」
責められてもおかしくない事をしてるのに!!
ううん!
聖蘭と煌龍は同盟同士。
バラされたっておかしくないはず。
なのに……
「あんたは、恭を傷付けたりしない。」
真っ直ぐな目であたしを見る聖也さん。