カタブツ上司に迫られまして。
だいたい、課長にご飯とお味噌汁のお椀を差し出す機会なんて無い。
飲み会にいけば泡たっぷりのビールをお酌するけど、そんな機会も最近は丸っきり無いし。
それこそ、異性にご飯を出すなんて何年ぶりかな。
前に付き合っていた彼とは、半同棲みたいな感じだったからご飯は作っていたけれど。
それだってもう、数年前の話だ。
別々の会社に勤めていたから、帰って家にいたとしても、どちらかは先に眠っていたし。顔を会わせるのも朝くらいで。
だから朝ごはんは頑張ったし、休みの日だって合わせるようにしてた。
だけど、すれ違うようになって……私は可愛くない性格らしいから、可愛い女が良いって言われて別れた。
可愛い女って、どういう女よ。
瓶詰めの蓋を開けられない子? 上目使いに失敗をごめんなさい出来る子? それとも、なんでもスゴいって褒め称える子?
私と別れてすぐに、大学時代の後輩と付き合い始めたくせに。
そもそも知ってたわよ。私と別れる前から、休みの日に会っていた事くらい。女友達の情報網をなめるんじゃないわよ。
浮気をした癖に、別れ話は私のせいにするのは許せなかったわ。
ムカムカしてひっぱたこうか、蹴ってやろうか思案した……
「……鳴海?」
「はい」
課長の声に顔を上げると、親子そろって困った顔をしていた。
「お前は男運が無くて、面白い奴なんだな」
「……え」
ぎょっとして、課長とお母さんを交互に見る。
私、もしかして独り言を言っていた?
「可愛いより綺麗系の面なんだし、可愛いふりは似合わねぇだろ。そもそもそいつとは縁が無かったんだよ」
ご飯をパクパク食べながら、課長が頷いている……
「え……あのぅ」
「大人しい奴だと思っていたが、冷静な面するのが上手なだけだな、お前」
「祐……そういう事は、口に出さない方がいいのよ?」
お母さんに遠慮がちに言われても、課長は肩を竦めるだけでニヤリと笑った。
「面白いよ、お前」
「わ、忘れてください」
「いやー……興味深い」
私は興味ない!
睨み付けて、お味噌汁を頂くと、お出汁の薫りに瞬きした。
飲み会にいけば泡たっぷりのビールをお酌するけど、そんな機会も最近は丸っきり無いし。
それこそ、異性にご飯を出すなんて何年ぶりかな。
前に付き合っていた彼とは、半同棲みたいな感じだったからご飯は作っていたけれど。
それだってもう、数年前の話だ。
別々の会社に勤めていたから、帰って家にいたとしても、どちらかは先に眠っていたし。顔を会わせるのも朝くらいで。
だから朝ごはんは頑張ったし、休みの日だって合わせるようにしてた。
だけど、すれ違うようになって……私は可愛くない性格らしいから、可愛い女が良いって言われて別れた。
可愛い女って、どういう女よ。
瓶詰めの蓋を開けられない子? 上目使いに失敗をごめんなさい出来る子? それとも、なんでもスゴいって褒め称える子?
私と別れてすぐに、大学時代の後輩と付き合い始めたくせに。
そもそも知ってたわよ。私と別れる前から、休みの日に会っていた事くらい。女友達の情報網をなめるんじゃないわよ。
浮気をした癖に、別れ話は私のせいにするのは許せなかったわ。
ムカムカしてひっぱたこうか、蹴ってやろうか思案した……
「……鳴海?」
「はい」
課長の声に顔を上げると、親子そろって困った顔をしていた。
「お前は男運が無くて、面白い奴なんだな」
「……え」
ぎょっとして、課長とお母さんを交互に見る。
私、もしかして独り言を言っていた?
「可愛いより綺麗系の面なんだし、可愛いふりは似合わねぇだろ。そもそもそいつとは縁が無かったんだよ」
ご飯をパクパク食べながら、課長が頷いている……
「え……あのぅ」
「大人しい奴だと思っていたが、冷静な面するのが上手なだけだな、お前」
「祐……そういう事は、口に出さない方がいいのよ?」
お母さんに遠慮がちに言われても、課長は肩を竦めるだけでニヤリと笑った。
「面白いよ、お前」
「わ、忘れてください」
「いやー……興味深い」
私は興味ない!
睨み付けて、お味噌汁を頂くと、お出汁の薫りに瞬きした。