カタブツ上司に迫られまして。
***
「お疲れさん」
居間でぐったりして夕方のニュース番組を見ていたら、帰ってきた課長が私にそう言った。
「……私、今日はお休み頂きましたから。お疲れ様は課長ですから」
「いや? うちの母親は半端ないからな。そっちの方が疲れそうだ」
ネクタイを緩めながら、課長が苦笑する。
確かにお母さんのバイタリティーは凄かった。
お給料日前だし、最低限のモノを……とか、思っていたはずなのに、何だか色々連れまわされて、気がつけばたくさん買って……いや、買わされていた?
まぁ、穴場的な衣料品店を紹介されて、かなり安く揃えることも出来たし助かったけど。
「なかなか良いじゃないか」
Tシャツにサブリナパンツの私に、課長がニヤっと笑う。
……何だかその笑い方、何を考えているのか解らなくて嫌だ。
「で……お袋は?」
「あ。ご近所さんにお呼ばれしたとかで、出掛けられました」
「ふぅん」
言いながら、課長は溜め息をついた。
「その敬語がうぜぇ」
「は?」
びっくりして目を丸くすると、課長は苦笑して首を振った。
「なんでもない」
そのまま居間を出ていく課長の後ろ姿を見送る。
今、軽くうぜぇって言ったよね。間違いなく敬語がうぜぇって言ったよね。
でも、そんな事を言われても困る。
だって課長は課長だし、私は部下だし。そういった関係の大人は敬語が普通じゃない?
着替えてから居間に戻ってきた課長を無言で眺めていたら、今度は吹き出された。
「何だよ。その驚いたような面は。家でくらい、だらっとしたいだろ」
「……解りますけど。想像できないくらい砕けてますよね。課長」
「……まぁな」
そう言った課長の、作ったような苦笑に瞬きした。
なんだろ……何だか、今、いろんなモノを飲み込んだ気がする。
「お疲れさん」
居間でぐったりして夕方のニュース番組を見ていたら、帰ってきた課長が私にそう言った。
「……私、今日はお休み頂きましたから。お疲れ様は課長ですから」
「いや? うちの母親は半端ないからな。そっちの方が疲れそうだ」
ネクタイを緩めながら、課長が苦笑する。
確かにお母さんのバイタリティーは凄かった。
お給料日前だし、最低限のモノを……とか、思っていたはずなのに、何だか色々連れまわされて、気がつけばたくさん買って……いや、買わされていた?
まぁ、穴場的な衣料品店を紹介されて、かなり安く揃えることも出来たし助かったけど。
「なかなか良いじゃないか」
Tシャツにサブリナパンツの私に、課長がニヤっと笑う。
……何だかその笑い方、何を考えているのか解らなくて嫌だ。
「で……お袋は?」
「あ。ご近所さんにお呼ばれしたとかで、出掛けられました」
「ふぅん」
言いながら、課長は溜め息をついた。
「その敬語がうぜぇ」
「は?」
びっくりして目を丸くすると、課長は苦笑して首を振った。
「なんでもない」
そのまま居間を出ていく課長の後ろ姿を見送る。
今、軽くうぜぇって言ったよね。間違いなく敬語がうぜぇって言ったよね。
でも、そんな事を言われても困る。
だって課長は課長だし、私は部下だし。そういった関係の大人は敬語が普通じゃない?
着替えてから居間に戻ってきた課長を無言で眺めていたら、今度は吹き出された。
「何だよ。その驚いたような面は。家でくらい、だらっとしたいだろ」
「……解りますけど。想像できないくらい砕けてますよね。課長」
「……まぁな」
そう言った課長の、作ったような苦笑に瞬きした。
なんだろ……何だか、今、いろんなモノを飲み込んだ気がする。