カタブツ上司に迫られまして。
「ですから、唐突すぎて頭がまだそんなこと考えるのに追い付きませんって」
「俺は唐突でもねえんだけどなぁ」
課長はそう言うと、スイカの皮を庭に放り投げ、ごろんと縁側に横たわった。
「課長。ゴミはゴミ箱に入れないと」
「庭の肥料になる。しかもツッコミ入れるところはそこじゃねえ」
ですよねー?
「なんですか。以前から私を笹井由貴にしたかったとか言ったら、私は鼻で笑いますからね?」
「鼻で笑われっと、さすがの俺でも傷つくぞ、お前」
淡々と言い合って、それから課長は反動をつけて起き上がった。
「笹井由貴にってのは、まぁ、最近の事だが。そもそも気になってなきゃ、会社以外で声かけるかよ。面倒くせえ」
無言で課長を眺める。
私、今まで会社での課長しか知らないから悩むけど……。
気にかけられていた、とは、全く感じたことがないんだけど。
なんだろう……。
私が鈍感なだけ?
挨拶をすると頷くだけだし、会社の飲み会でビールを注いでも一言のお礼もなく無言だったし、ちなみに仕事以外の会話もしたことが無かったよね?
「あんなコップの半分以上も泡だらけのビールを注がれて、ありがとうとは言えねえだろーが」
ポツリと呟く課長は、どこかしょんぼりして見えた。
「……私、また呟いてましたか」
「ビール注いでも礼がないってのは聞こえた。あんな嫌がらせされる程、嫌われてんのかと思ってた」
「怖くて苦手ですけど、特に嫌いじゃないですよ」
課長は眉を上げ、それから微かに目を細めて苦笑する。
「そんなに怖いかー?」
「だって課長って無表情なんだもん。無表情の人って、無表情なだけで何を考えてるか解らないから怖いじゃないですか」
「お前だって会社じゃ似たようなもんだろーが」
「いいえ。私は会社ではもっとにこやかに振る舞ってます!」
課長は腕を組むと眉間にしわを寄せて考えている。
「俺は唐突でもねえんだけどなぁ」
課長はそう言うと、スイカの皮を庭に放り投げ、ごろんと縁側に横たわった。
「課長。ゴミはゴミ箱に入れないと」
「庭の肥料になる。しかもツッコミ入れるところはそこじゃねえ」
ですよねー?
「なんですか。以前から私を笹井由貴にしたかったとか言ったら、私は鼻で笑いますからね?」
「鼻で笑われっと、さすがの俺でも傷つくぞ、お前」
淡々と言い合って、それから課長は反動をつけて起き上がった。
「笹井由貴にってのは、まぁ、最近の事だが。そもそも気になってなきゃ、会社以外で声かけるかよ。面倒くせえ」
無言で課長を眺める。
私、今まで会社での課長しか知らないから悩むけど……。
気にかけられていた、とは、全く感じたことがないんだけど。
なんだろう……。
私が鈍感なだけ?
挨拶をすると頷くだけだし、会社の飲み会でビールを注いでも一言のお礼もなく無言だったし、ちなみに仕事以外の会話もしたことが無かったよね?
「あんなコップの半分以上も泡だらけのビールを注がれて、ありがとうとは言えねえだろーが」
ポツリと呟く課長は、どこかしょんぼりして見えた。
「……私、また呟いてましたか」
「ビール注いでも礼がないってのは聞こえた。あんな嫌がらせされる程、嫌われてんのかと思ってた」
「怖くて苦手ですけど、特に嫌いじゃないですよ」
課長は眉を上げ、それから微かに目を細めて苦笑する。
「そんなに怖いかー?」
「だって課長って無表情なんだもん。無表情の人って、無表情なだけで何を考えてるか解らないから怖いじゃないですか」
「お前だって会社じゃ似たようなもんだろーが」
「いいえ。私は会社ではもっとにこやかに振る舞ってます!」
課長は腕を組むと眉間にしわを寄せて考えている。