カタブツ上司に迫られまして。
「押し倒しても良いのか?」
「そんな事に答えるはずがないでしょう!」
顔を真っ赤にしたら、爆笑された。
「お前はそういうとこは、女って言うよりは、女の子だなぁ」
笑いながら食器を持って、課長はキッチンに向かった。
「あ……」
「飯作らなかった奴が洗いもん担当な。少しくらい決めごとがあった方がいいだろ」
課長を追ってキッチンに入ると苦笑している。
「うちは男性をキッチンに入れない主義なんですよねー」
だから、何だか慣れないかも。
「鳴海の実家?」
課長が一度お皿を水で流し、スポンジに洗剤をかけながら振り返った。
「うちの男どもは、つまみ食いが好きなんですよねぇ」
「俺も好きだな」
課長は笑いながらテキパキと食器を洗い始め、水切りかごに乗せていく。
それを乾拭きして食器棚に戻すと、また笑われた。
「鳴海の母親は、しっかりした人らしいな」
「それは間違いないですね」
うちの母さんは、一見物静かそうに見えて、確実に影の支配者だよね。
それは、課長のお母さんにも言えそうだけれど……。
「明日は……早く帰れっかなぁ」
ブツブツ言いながら課長が水切りかごも洗い、それから立て掛けた。
「どうですか? そちらは」
「まぁ、原本がプログラムを変更できるか、データを見ながら模索中だな。ぱっと見は問題なさそうに見えるのが厄介だ」
「ルファーブル側は、何か……?」
「営業担当と、あっちの内部監査員が真っ青な顔で飛んできた」
そうなんだ。まぁ、そうなるか。
「あっちもあっちで内部監査員が、動き出した……が。鳴海?」
「はい?」
「仕事の話はしたくねぇな」
言うと思いました。はい。
「だって……気になるんですもん」
「お前も会議に加わるか? 大して面白くもないが」
「あ。それは遠慮します」
上野君は参加しているらしいけれど、進んで会議に参加したいとは思わないな。
大変だもん。
「ごめんな……」
ポツリと呟いた課長に首を傾げる。
「今、まだ少し落ち着かねえ。だから、お前も落ち着かねえかもしれないが……」
「バカですねー。こういう時こそ助け合いでしょ。大丈夫です。私は頼られるのには慣れてますから」
微笑むと、溜め息をつかれた。
「どっちかって言うと、逆の立場が一番いいんだがなぁ」
そう言って笑いあった。
「そんな事に答えるはずがないでしょう!」
顔を真っ赤にしたら、爆笑された。
「お前はそういうとこは、女って言うよりは、女の子だなぁ」
笑いながら食器を持って、課長はキッチンに向かった。
「あ……」
「飯作らなかった奴が洗いもん担当な。少しくらい決めごとがあった方がいいだろ」
課長を追ってキッチンに入ると苦笑している。
「うちは男性をキッチンに入れない主義なんですよねー」
だから、何だか慣れないかも。
「鳴海の実家?」
課長が一度お皿を水で流し、スポンジに洗剤をかけながら振り返った。
「うちの男どもは、つまみ食いが好きなんですよねぇ」
「俺も好きだな」
課長は笑いながらテキパキと食器を洗い始め、水切りかごに乗せていく。
それを乾拭きして食器棚に戻すと、また笑われた。
「鳴海の母親は、しっかりした人らしいな」
「それは間違いないですね」
うちの母さんは、一見物静かそうに見えて、確実に影の支配者だよね。
それは、課長のお母さんにも言えそうだけれど……。
「明日は……早く帰れっかなぁ」
ブツブツ言いながら課長が水切りかごも洗い、それから立て掛けた。
「どうですか? そちらは」
「まぁ、原本がプログラムを変更できるか、データを見ながら模索中だな。ぱっと見は問題なさそうに見えるのが厄介だ」
「ルファーブル側は、何か……?」
「営業担当と、あっちの内部監査員が真っ青な顔で飛んできた」
そうなんだ。まぁ、そうなるか。
「あっちもあっちで内部監査員が、動き出した……が。鳴海?」
「はい?」
「仕事の話はしたくねぇな」
言うと思いました。はい。
「だって……気になるんですもん」
「お前も会議に加わるか? 大して面白くもないが」
「あ。それは遠慮します」
上野君は参加しているらしいけれど、進んで会議に参加したいとは思わないな。
大変だもん。
「ごめんな……」
ポツリと呟いた課長に首を傾げる。
「今、まだ少し落ち着かねえ。だから、お前も落ち着かねえかもしれないが……」
「バカですねー。こういう時こそ助け合いでしょ。大丈夫です。私は頼られるのには慣れてますから」
微笑むと、溜め息をつかれた。
「どっちかって言うと、逆の立場が一番いいんだがなぁ」
そう言って笑いあった。