カタブツ上司に迫られまして。
「……さすがに、そろそろ食費出さないとまずい気がしてきたんだが」

「なら、光熱費とか折半にして、食費も折半にしますか?」

ちらりと見ると、課長は黙り混んで畳に座る。

「……解った。もう言わない。黙って世話になるから、お前も言うな」

水道代と光熱費、もろもろ考えると、実は食費なんて微々たるものだと思うんですよねー。

実は半額セールを狙って買い物していたりするし。

「いただきます」

ちゃんと律儀にそう言って、課長はご飯を食べ始めた。

食べ終わると、必ずお茶を飲むから、冷蔵庫から麦茶を出すとグラスに注ぐ。

私の分と課長の分を置いて、ナスの煮浸しをパクパク食べているその姿を見ながら私も座った。

課長は何でも食べるけれど、好きなものから食べる傾向にあるみたい。

「……なんだよ」

「や。鰹だし系が好きですよね」

課長は片方の眉を上げ、それから苦笑した。

「俺もそこそこ自炊していたが、和食はあまり作れねえし……まぁ、好きだな」

「それは見ていて解りました」

微笑むと、課長もにんまりと笑う。

ニヤリと笑いより、その笑顔は好きなんだけどなー。

「いや。そう言われても、一人で用もなくニヤニヤしてたら、マジで変態になるだろうが」

「……まぁ……」

えーと?

独り言に返事はして欲しくないけど、独り言だと気づかなかった課長はそのまま食べ続けている。

うん。独り言の癖は直さないと。

会社では大丈夫なのに。どうしてこう呟いてしまうのか。

「気にすんな。俺もだいぶ慣れた」

……えーと?

「どうして家だと呟くんだろうな?」

ニヤリと笑う課長に両手で顔を隠した。

そんなもんは慣れなくても良いからっ!









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