ルームシェア。
負けだ。
完全に俺の負けだ。
完全敗北というやつだ。
さっきあんなことを言ってしまい、なんだか気まずい…。
「あーそのー…。悪かった。嘘とか言ってよ…」
「い、いいの!信じてくれたらそれでいいの!」
「…でもよ」
俺は改めて、その案内された部屋を見渡す。
綺麗なカーペットが敷いてあって、ベッドもあって、クローゼットもあればテーブルやエアコンまである。
誰が見てもその部屋は、今さっきまで誰かがいたような感じだ。
「この部屋、誰か使ってたのか?すげーいろいろ揃ってるんだけど」
「あぁ。本当はこのマンションの部屋自体、お兄ちゃんと住む予定だったの」
「お兄ちゃん?」
「うん。ここの部屋もお兄ちゃんの友達に紹介してもらったの。でも、お兄ちゃんが会社で転勤が決まって大阪に行っちゃったんだ。だから、一部屋空いてるの」
「なるほどな」
「お兄ちゃんも住む気満々だったからベッドとか用意したんだけど、突然だったから…。でも私は、元々ここの家賃も安いしせっかく紹介してもらったから、そのまま借りてるんだ」
姫島は、そう言ってベッドに腰を掛ける。
なるほど。そう説明されれば、納得が出来る。
でも、