瞬きの星
あの時、車の中を覗き込もうとした。が、窓の向こうを見るよりも早く、その表面へ映る背後に立ったあの男を僕は見つけてしまった。

男は睨みつけるような表情を崩さないまま、たった一言だけ言った。

「乗れ。」と。

開けられたドアに好機だと思い、中を覘いてみた。が、そこには何も無く。後部座席には、誘拐されたような子供の姿も、痕跡も無く。
ただがらんとした空間がそこにあるだけであった。
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