瞬きの星
多分僕は何処かへ行きたかったのだ。日常とは違う何処かへ。
そして、この男もまた、それと似たような旅を、何故だか企画しているらしい。
僕が何処へゆきたいのか、それは措いて。
共に過ごした時間も合間って、何処か、男に親近感さえ抱いていた頃だ。

僕はいつか、男へ対する恐怖らしい考察も捨てて。それすらも、ただ漠然とした靄の中に放っていた。
そして、そうと許せる楽観らしい何かが。僕の中に生えていたのだ。
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