瞬きの星

19

「ありがとう。」
息を吸い込むように、体が言葉を思い出す。

「死んじゃったから、一人じゃできないの。だから、お兄ちゃんとかおじちゃんにおねがいするしかないの。だって、わたし死んじゃったから。」

熱くなった体を懸命に運んでいく。その一歩をふみしめる。

「だから。死んじゃうってことはね、じぶんで決められないってことなの。」

僕は、最後の一歩を登りきった。
体は勝手におれまがり、地面を見つめたまま荒い熱い吐息はただ白くにごっていった。
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